注意をすれば変化するという間違った認識
仕事の中で部下や後輩を注意することがあるだろう。注意をして部下や後輩の行動が変化することもあれば、「あいつはわかっているのか?」と思うくらい変化しない人もいる。注意をすれば変化する、注意をしても変化しない人はダメと考えてしまうものだ。ここに大きな間違った認識が潜んでいる。構造として「注意をする→変化する」が間違っているということである。
注意をして他人が変化するのであればそれほど簡単なことはない。しかし、注意をしても変化しないことにはいくつかの理由がある。相手が変化するのには段階がある。相手目線で考えた時には次のようになる。
①注意される
②注意内容に納得できる(変化させるべき内容であると認識する)
③変わる必要性を感じる
④変わるための行動をする
⑤変わる
人が変化をするためにはこの段階を必要とする。このことから考えると注意する側が気をつけるべき点が見えてくるだろう。
注意する側はただ注意すれば良いというわけではない。相手が変わる必要性を感じることが必要なのである。注意する側から見て「これは変えた方が良い」と思うことでも相手がその内容に納得しなければ変わる必要性を感じることはない。「これはいけないことだ」と言われてもなぜそれがいけないのかが理解できていなければ自分を変える相当な理由があるとは言えないのである。そこから考えると注意をして相手に変わってもらうためには相手が納得する論理がなければいけない。それを満たすために考えられる1つが相手が「自分が損をする」と考えることだ。人は誰も損をしたいと思っている人はいない。変えなければ損をすると理解できると変える努力をする。変わらなければ損をするという内容を相手が理解できるように伝えることが大切である。
そこから考えると注意には「現在の状況では将来的に損をする」ということと合わせて「その点を変えることが出来れば損をしない」という未来の損失を減らすもしくは未来の利益を増やすことであると理解してもらうことが必要となる。
注意をすることは人に対して変化を促す行動である。相手が変わる意思を持たなければ、その注意はただの独り言になってしまう。変化を促す注意方法を実施することが大切なのである。